保護者が審判をすることになったら、最初に用意するもの
サッカーの少年団にいると、ある日「次の試合、審判お願いできますか」と声がかかります。やったことがなくても、かかります。私もそうやって始めて、いまも笛を吹いています。
この記事は、そうして審判を頼まれた保護者と、これから頼まれそうな保護者に向けて書きます。
先に書いておきたいことがあります。少年団の審判は、ほとんどがボランティアです。そして審判がいないと、試合は成り立ちません。子どもたちが試合をできているのは、どこかの保護者が休日にグラウンドに立っているからです。判定を間違えることもあります。その審判の一人が、私です。
引き受けて最初に困るのは、「何を買えばいいのか」です。用品を並べる記事はすでにあります。ここで書くのは、買う順番と、買わなくていいものです。
結論を先に書きます
最初に買うのは、笛だけでいいかもしれません。
「かもしれません」と書くのは、チームや試合の種類によって要るものが変わるからです。ただ、私が最初に揃えたものを振り返ると、本当に自分で買う必要があったのは笛だけでした。あとのものは、もらえたり、用意されていたり、持っているもので足りたりしました。
段階ごとに、要るものは増えます
審判に要るものは、一度に全部要るわけではありません。どこまでやるかで、3つの段階に分かれます。
| 段階 | 要るもの |
|---|---|
| ① とにかく始める(練習試合など) | 笛、時計 |
| ② 公式戦の主審をやる | 審判服一式、カード、トスコイン、ワッペンホルダー |
| ③ 副審をやる/さらに上を目指す | フラッグ、審判ノート |
②に出てくるトスコインは、試合の前に、どちらの側から始めるかを決めるために投げるコインです。ワッペンは審判服に付ける布の印のことで、公式戦では指定のものを付けます。ワッペンホルダーは、それを入れて審判服に付けるための道具です。
最初に声がかかるのは、たいてい①です。①で要るのは笛と時計だけで、そのうち時計は、次の節で書くように、買わなくていいことが多いと思います。
②の公式戦には、審判の資格が要ります。講習を受けて取る、いちばん入口の「4級」で、小学生の試合の審判はできます。講習を受けるときに、次の節に出てくる「もらえるもの」を受け取ることになります。
②と③は、その段階が来てからで間に合います。先回りして買わなくて大丈夫です。
買わなくていいもの
審判の用品を紹介する記事を見ると、10種類以上のものが並びます。全部買うのかと思いますが、そのうち私が買わずに済んだものが4つあります。買わずに済んだ理由が、4つとも違います。
もらえるもの。 グリーンカードと、RESPECTのワッペンです。グリーンカードは、よいプレーやふるまいをした子どもに、審判が示す緑色のカードです。RESPECTのワッペンは、リスペクト(大切に思うこと)を広める取り組みのワッペンです。どちらも、私が受けた審判講習では配られました。講習の運営によって違うかもしれませんが、少なくとも、買う前に「講習でもらえるか」を気にしてよいものです。
用意されるもの。 記録用紙です。試合の記録を書く紙は必要ですが、大会の事務局が用意しているのが普通です。自分で持っていったことはありません。
使う場面がないもの。 ボールの空気圧を測るゲージです。大きな大会でなければ、あまり使いません。個人で買うものではない、と私は思っています。
持っているもので足りるもの。 時計です。私は普段つけているスマートウォッチをそのまま使っています。審判用の時計もありますが、私はいまのところ、それで困っていません。
この4つを除くと、①の段階で自分の財布から出すのは、笛だけになります。
買う前に、チームに聞いてください
審判服についてです。公式戦をやるようになると、審判服一式が要ります。これは自分で買いました。ただ、あとになって、審判をした実績に応じて、チームから審判服代の支給がありました。
これはチームによって違います。支給のないチームもあれば、最初から貸してくれるチームもあるかもしれません。私に言えるのは、自分で買う前に、一度チームに聞いたほうがいい、ということだけです。聞くのは一言で済みます。買ってから知るのは、少しもったいない。
笛を選ぶときに、私がしていること
笛には、息で吹く普通の笛と、ボタンで鳴らす電子ホイッスルがあります。私は両方を持っていて、使い分けています。練習試合では電子、公式戦では普通の笛です。電子ホイッスルは口にくわえなくてよく、便利です。ただ電池で動くので、切れると音が出ません。公式戦の途中で笛が鳴らなくなると、試合が止まります。それが怖いので、公式戦は普通の笛にしています。
これは私の運用です。電子ホイッスルをどの試合で使ってよいかは、大会ごとに確認してください。
笛の音について、ひとつだけ論文を読みました。笛は選手に向けて鳴らしますが、いちばん近くでその音を聞いているのは、吹いている自分の耳です。審判の耳に届く笛の音を試合中に実際に測った研究で、私が見つけられたのは次の1本だけでした。屋内のバスケットボールで、大人の審判を測ったものです。屋外のサッカーの、週末だけの保護者審判にそのまま当てはまる数字ではないことを、先に断っておきます。
バスケットボール審判の笛の音を、試合中に実測した研究(屋内・大人の審判)
Masullo M, Lenzuni P, Maffei L, et al. Assessment of noise exposure for basketball sports referees. Journal of Occupational and Environmental Hygiene. 2016;13(6):464-475.[1]
この研究では、笛の音は一瞬ですが非常に大きく、審判が試合中に浴びる音の大部分を、自分の笛が占めていました。1週間分に直した音の量は、働く人の耳を守るためにヨーロッパで決められている「対策を考え始める」水準を、わずかに超えていました。
この研究を読んで、私が笛を選ぶときの見方は少し変わりました。「音が大きいほどよい笛」と思っていましたが、その音を毎回いちばん近くで聞くのは自分です。大きさだけで選ばなくてよい、と思うようになりました。
いま私が使っている笛の名前も書いておきます。普通の笛はモルテンのバルキーン(RA0030-K)、電子ホイッスルは同じモルテンのRA0010です。ただ、最初に買った普通の笛は、モルテンのトリルトーン(WTR)という、もっと安いものでした。
買い替えた理由を正直に書くと、前の笛で困ったからではありません。評判がよかったのと、持っていると気分が上がるからです。使い心地はとてもいいのですが、最初の1本がこれである必要はありませんでした。
電子ホイッスルは色ごとに別の商品として売られています。上のリンクは黄色のものです。
もうひとつ、知っておくと選びやすいことがあります。日本サッカー協会が公式の審判用品を出しています(2025年9月の発表)。副審のフラッグ、トスコイン、ホイッスルのストラップやホルダー、ワッペンホルダー、記録用のシートなど、10種類14アイテムで、価格は660円から7,480円(税込)です。サッカー用品店や協会のオンラインストアで買えます。「これから審判に挑戦したいと考えている方」も購入できる、と発表に書かれています。②の段階で何を揃えるか迷ったとき、ここにあるものを基準にすると、必要以上に買わずに済みます。
この記事で言えないこと
私が使ったものしか分かりません。 使っていない用品の良し悪しは、ここでは書いていません。3つともモルテンのものですが、各社の笛を試して選んだわけではありません。モルテンがよいと聞いて、そのまま使い続けています。
チームによって違います。 支給の有無、貸し出しの有無、最初に頼まれる試合の種類は、所属するチームで決まります。この記事の「笛だけ」は、私のチームでの話です。
審判の資格の段階によって、要るものが変わります。 上の段階に進むと、この記事にないものが要ることがあります。
もらえるかどうかは、講習の運営によります。 グリーンカードとワッペンは、私が受けた講習では配られました。どこでも配られると言える材料は、持っていません。
「だから静かな笛を選んでください」とは言えません。 上の研究は、審判の耳に届く音の大きさを測ったもので、笛どうしを比べて選び方を示したものではありません。音が小さい笛が選手に届くかどうかも、調べていません。
買う順番
- 笛を1つ買う。 公式戦をやる可能性があるなら、普通の笛を。練習試合だけなら、電子でもかまいません
- 時計は、持っているスマートウォッチで始める。 審判用の時計は、必要を感じてからで間に合います
- 審判服を買う前に、チームに聞く。 支給や貸し出しがあるかもしれません
3つのうち、買うのは1つだけです。声がかかった週末に、笛がひとつあれば立てます。あとは、グラウンドで覚えました。
参考文献
- Masullo M, Lenzuni P, Maffei L, et al. Assessment of noise exposure for basketball sports referees. Journal of Occupational and Environmental Hygiene. 2016;13(6):464-475. DOI
本記事は運営者自身の経験に基づく一般的な情報提供であり、特定の大会・団体・判定について述べるものではありません。必要な用具は所属チームや大会の規定によって異なりますので、詳細は所属チームにご確認ください。
